前回の第1章では、肌の悩みに迷う「スキンケアジプシー」の皆さまへメッセージをお届けしました。今回は、花千佳が生まれることとなった背景にある、私自身の経験をお話しいたします。
食べるものへのこだわりと、肌への無頓着
もともと私は、オーガニック食品の検査員という仕事に就いていました。 口にするものや、体の中に入るものの安全性には人一倍こだわりを持ち、成分を厳しくチェックする日々を送っていました。しかしその一方で、肌につける化粧品に対しては成分への意識が薄く、無頓着でした。
毎日, クレンジング、洗顔、化粧水、美容液、乳液、精度マッサージといったお手入れを欠かさず行い、丁寧にケアをしているつもりでいました。
しかしある日突然、ひどい肌荒れが起きます。私はすぐに皮膚科へ向かいました。
処方箋のない皮膚科での選択
受診した皮膚科で、医師から意外な提案を受けました。
「今のスキンケアを、すべてやめてみてください。顔は固形石鹸だけで洗うこと。何も塗らないのが一番良いですが、どうしてもというなら化粧水だけに留めてください。日中のファンデーションも一切なしで、だまされたと思って試してみてください」
処方された薬は、一切ありませんでした。
本当に言われた通りに、そのシンプルな方法を始めてみました。 最初の1週間ほどは、ひどく乾燥したり、逆に油っぽくなったりと、肌の状態が安定しませんでした。これまで与えられ続けていた多くの成分がなくなったことによる、一時的な変化だったのだと思います。
変化が訪れたのは、10日から2週間ほど経った頃でした。 これまでになかったすこやかな艶が出始め、肌の状態が落ち着いていくのを実感しました。
成分表示を見て気づいた事実
オーガニック食品の検査員として、食品の成分表示を見る目は持っていたはずでした。それなのに、自分が毎日肌に塗っていた化粧品のボトルの裏ラベルを見たとき、初めてその事実に驚きました。 そこには、食品であれば決して選ばないような、数々の化学物質が並んでいたのです。
それ以来、私は固形石鹸に関心を持ち、国内外のさまざまな製品を試するようになりました。
ある日、友人がオーストラリアのお土産に買ってきてくれた、コールドプロセス石鹸を使う機会がありました。熱を加えず、時間をかけて熟成させるその石鹸は、汚れを落としながらも肌の潤いを守る、優れた使い心地でした。
その後、別の友人から「石鹸は自分でも作ることができる」と教わったことをきっかけに、自ら石鹸を試作する日々が始まりました。
専門学校での学びと、起業への想い
素材となるオイルの種類や配合比率、熟成期間によって洗い上がりが変わるものづくりに、私は次第に深くのめり込んでいきました。 石鹸だけでなく、化粧水、ファンデーション、フェイスパウダー、香水にいたるまで、肌に触れるものすべてを天然の原料だけで手作りするようになりました。
さらに知識を深めるため、香料や化粧品について学ぶ専門学校へ通いました。 カリキュラムの多くは化学物質を用いた化粧品や香水作りでしたが、私は先生に特別にお願いをし、ナチュラルな素材や天然香料を使用した実験を個別に組んでいただき、研究を重ねました。
こうして完成したスキンケアを周りの友人たちに試してもらうと、非常に気に入ってくれました。
世の中には、かつての私と同じように、良かれと思ったお手入れで肌を傷め、悩んでいる方が大勢いるのではないか。 そうした同じ悩みを抱える人の役に立ちたい、喜んでほしい。その強い想いから、不要なものは一切入れない、天然の原料だけで仕立てるスキンケアブランド「花千佳」を起業しました。
自社工房からお届けする製品は、「肌が自ら潤おうとする力」を植物の生命力で後押しするという考え方から生まれています。


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